my lips are sealed

tamavskyのB面

松崎旅行①

久しぶりの更新は写真多め。

 

9月は仕事がとても忙しかった。。

ただその9月の終わりには予定通り松崎へ行くことができた。


新幹線を使わなかったので4時間半はかかった。

まず東京駅へ行き、快速アクティーで熱海へ。そのあとはJR伊東線、直通の伊豆急行で下田の一つ前、蓮台寺駅で下車。

そこからバスで約40分、伊豆半島を横断する。

見覚えのある街並みに降り、歩いて10分ほどで今回の宿、山光荘に到着。

 

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小柄なおばあちゃんが記帳も求めずに部屋、お風呂とトイレの場所を案内してくれる。

何事かと思ったら、その日宿泊する客が私しかいなかったらしい。

なので、女湯でも男湯でも好きな方を使ってもらって構いません、と言われた。

 

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しばらく部屋で本を読んでいたらまた別の女将さんが部屋を訪れ、夕食の時間はいついつで良いですか、と聞かれたついでに、つげ義春が泊まった客室"長八の間"を見学させてもらえることになった。

もともと蔵であったであろう、急な木の階段を登った2階の和室。

窓の外には入江長八の漆喰鏝絵の作品が残っている。

窓から白く弱い光の差し込む和室、中央の机でつげ先生が頬杖をつきながら原稿を書いている様が想像できた。


部屋に戻りほどなくして夕食が運ばれてくる。一人で食べられるかどうか心配になるほどの立派な夕食だった。海の幸を堪能してしばしの間休む。

 

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ちなみにこの日一日中読んでいたのは川上弘美の「真鶴」。

道中、真鶴駅に停車することを思い出し、朝の出がけにリュックに詰めてきた。

読んでからは、真鶴、という地名がどこか荘厳で神秘的に響く。

本文中、母と娘、女と男の距離感について仔細に触れており、その端々から私とこの人は似ているんだろうと何度も思う。

最初に読んだのはちょうど4年前なので、私は4年間あまり変わっていないということにも思い至る。

胸の内を読まれてしまうようで心許なくあまり人には勧めないが、とても好きな作品だ。


温泉は、まず女湯に入った。

シャワーの水圧がひどく弱い。熱いのと冷たいのを行ったりきたりしなかっただけましか、と思った。

ちなみにこの、シャワーの温度が安定しない現象にはウラジーミル・ナボコフが「ロリータ」の中で名前をつけているのだが何という名前か忘れてしまった。最近はあまりないが、旅館などでこんなシャワーに遇うと祖母の家を思い出して懐かしくなる。


お湯は適温、無色透明で匂いもない。普段の入浴と変わらないように感じるが、身体があっという間に温かくなる。のぼせてしまわないよう、時々湯船のへりに座って体温を下げる。涼しくなってきたらまた足から浸かって、と繰り返す。

紙コップと圧縮されたフェイスマスクシートを「温泉でふやかしてフェイスパックにお使いください」と渡されていたので使ってみた。

前日、というかもう日付は変わっているのだけど、2時ごろまで会社にいたのでろくに荷造りをしていなかったためこの日は化粧水を忘れてしまっていたのだが、温泉パックのおかげで、何もせずに寝て起きても肌の乾燥を少しも感じなかった。

 

翌日の朝はからっと晴れて、カーテンを開けてみると庭の木のむこうに夏のような青空が見えていた。

 

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朝食もまたたいへんな量のご馳走をいただく。焼き魚を食べたのなんていつぶりだろう。

 

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朝風呂は男湯に入ってみた。内風呂だが岩風呂になっていて、白い壁にはよく見ると蟹の鏝絵が施されていた。

 

朝から温泉で温まったら顔色がとても良くなったし、顔のむくみがとれて目がよく開いた。化粧らしいことは色付きのリップクリームを塗る程度で問題なくなってしまった。

10時ごろチェックアウトし、短いが静かで落ち着いた滞在を終える。

 

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2日目、長い長い散歩の記録に続く。