my lips are sealed

tamavskyのB面

推し?

昔から周囲には男女問わずアイドルと呼ばれるものにハマっている子が何人もいて、私にはその気持ちがずっとわからなかった。お気に入りの競走馬とかはいたけれど。まず見た目が綺麗な人間が歌って踊っていることの何が尊いのかわからなかった。人間よりは音楽に興味があって、でもアイドルソングは凡庸でつまらないと感じていたので、そもそも興味がなかった。たまにインディーズのアイドルでちょっと攻めた曲を耳にして気に入ることはあっても、アイドル本人に興味が向かない。アイドルは私の方を向いていないと感じていて、それが原因だった。圧倒的な呼ばれていない感。女性アイドルは結局異性愛者の男性のほうを向いていると感じていた。なんでそう感じてしまうかといえばそれは男性客が多いしお金になるから、ただそれだけで彼女らに罪はないのだが。チェキとか握手とかの文化も気持ち悪いし、なによりライブが無理で、行けなかった。客が、ライブ中に大きい声でコール?とかミックス?みたいなことをしたり、踊ったりする意味がわからなくて、ばかみたいだと思ってしまう。私はほとんどバンドの音楽しか聴いてこなくて、ただ演奏を聴きたくてライブに行くことしかしたことがなかったから、そう思ってしまうのは仕方ないのかもしれない。

でも最近はKPOPを筆頭にガールクラッシュという潮流がもはや一般的にさえなっていて、そういったグループのMVは素直に素敵だなと思えるようになってきた。(男性が女性に向ける視線がどれだけ嫌だったんだろう) もちろん男性ファンだっているのだろうけど、私の身の回りにはほとんどいない。日本のアイドルとは女性ファンの規模が全く違うと感じる。そういうグループを知って、私にも好きになる権利があるというか、憧れてもいいグループがあるんだ、とはじめて思った。

私はなんとなく彼女たちをアイドルグループと呼ぶのが嫌で、ガールズグループとか、ダンスボーカルグループとかわざわざ呼んでいる。日本のアイドルがあまりにもあこぎな商売をしてきたから、アイドルという言葉が汚れてしまったように感じている。

ここ数年はMAMAMOOとか、aespaとか、LE SSERAFIMとか、NewJeansとか、XGの音楽がすごく好きでたくさん聴いているし、作り込まれたMVも魅力的でたくさん再生している。これらのグループはメンバーの顔と名前が一致するくらいにはなった。特にNewJeansのヘリンちゃんが好きで、私は富江みたいな顔の女の子がどうしても気になってしまうんだなと思う(同じく富江顔な中国のコスプレイヤー、周仙仙耶ちゃんも大好きです、インスタフォローしてます!)。

プロデューサーのミン・ヒジンという人は、アートムービーみたいなコンセプトのアートディレクションが非常に得意なのだということを知った。また、少女性愛的な傾向が批判されていることも知って、ああ、まだ葛藤しなければならないんだなと思ったし、私に似ていて、そりゃ好きになるか、私もこの人も大概気持ち悪いなあと思った。散々男性ファンたちを気持ち悪いと言っておきながら私だってかなり、惹かれる女の子には少女的なところがあって、ロリコンだと思う。ただ私はそれを大きな声で言えない程度には恥じていて、恥じることなく楽しめる人たちを妬みながらバカにしていただけなのかもしれない。結局アイドルを推す、ということの罪について考えずにはおれない。メンバーの年齢を知って、ひー、児童労働……思いながらどうしようもなくNewJeansが好きだ。(AttentionのMV公開一時間後から注目していたおじさんはおそらくそういうことも何も知らず、あるいは知っていても深く考えることなくああいうことをツイートし「最近流行りのアイドルにも注目しちゃう俺」に気持ちよくなっちゃっているので、お話にならない。ご丁寧なエゴサーチとブロックに感謝)

彼女たちはあまりにも遠いところにいて、どうしたらいいかわからなくてペンライトなど買ってしまった。夏の終わりに届く。コンサートにも行ってみたいけれど、コール的なものを我慢できるのだろうか、それはまだわからない……。

私が今ランダムでロック画面に設定しているヘリンの写真はどれも、一枚も笑っていない。あなたは私のためには笑わなくていい。このクソみたいな世界と私を猫の目で睨みつけていて。