my lips are sealed

tamavskyのB面

11/18

木曜日の記録。色々あった。

まず朝一で通院。結局薬の量は戻った。昼か夕食のあとに1錠追加する。今度こそ、薬の効き目と副作用とのバランスがとれるようになるのを期待。

10時ごろに診察と薬の受け取りが済んだ。曇っているが、雲の向こうから柔らかくなった日光がときどき差してくる。マフラーはしなくてもよいくらいのさわやかな気候が気持ち良くて散歩をすることにした。

けやきの並木道を歩いて大國魂神社へ。七五三のお参りに来ている家族がたくさんいて、着物姿の女の子や男の子がたくさん写真を撮られていた。七五三、さすがに自分は七歳のしか記憶がない。お腹が帯で締め付けられて苦しく、身体が重いので一日中機嫌が悪かったような気がする。神社にいたのは多分ほとんど3歳と5歳のように見えたけれどみんなニコニコとしてポーズを決めており、えらいなあと思う。

自分は健康運と仕事運の向上を願い、おみくじを引いた。今年は初詣もしなかったので2021年初めてのおみくじだったかもしれない。何かと運のない私にはめずらしく中吉で、おおよそ良さそうな言葉が並んでいた。旅行の欄には「どこへ行っても楽しいことがあります。」と書かれていて早く旅に出たくなった。そういえば来月、誕生日に伊香保温泉に行く。

府中の大きい本屋で朴沙羅『ヘルシンキ 生活の練習』、シオラン『生誕の災厄』購入。

その後分倍河原へ移動してブランチ。マルジナリア書店でボーヴォワール『離れがたき二人』を買って、パンとコーヒーも頼んでカフェスペースで読む。

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Noëlさんのあひるのパン、かわいい。天然酵母のパンで、フカフカもちもち。もったりしたカスタードクリームが詰まっていて美味しかった。

 

昼、森のカフェへ移動してカレーを食べる。ジャズの流れるいいお店だった。たくさんのレコードとCDがあって気になる。日差しが差し込んできて気持ちが良い。

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(手前の、カスタードプディングのようなケーキがびっくりするくらい美味しかった。頭に電流が走った)

 

鞄の中に本が4冊あって(購入した3冊と、家から持ってきた1冊)さすがに重い。子供の頃、本なら欲しいと言えば基本的に買ってもらえたのを思い出す。もっと読めばよかったし買ってもらえばよかったと思う。そういえば小学校高学年くらいの頃に読んで未だに印象に残っている本があって、『夜中に犬に起こった奇妙な事件』という(それなりに有名なのでご存知の方も多いと思う)。私はあの本で素数とは何かというのと、モンティ・ホール問題のことを知った。あの本は大人になってもときどき読み返したくなるので、こんど実家に帰ったら回収しようと思う。

 

多摩川の河川敷を散歩して、そのまま河原に座り込んで陽が傾くまで『離れがたき二人』を読み進める。読み終わる。昨今、シスターフッドをテーマとした物語がよく注目されているし、そういった文脈で未発表だったこの作品が出版されたり、広く紹介されたりしているのかもしれないのだけれど、女性同士の"連帯"というと生ぬるく感じてしまうほどに強烈な親愛で結びついた人間ふたりの話であった。二人の絆は非常に固いけれど、決して二人だけの世界にこもるような話ではない(いや、二人だけの世界が作れたらもっとずっとマシだったのかもしれない。シルヴィーは父の破産によって家の経済状況が苦しく男と同じように働かざるを得ないし、アンドレは敬虔なクリスチャンのブルジョア家庭で社交や結婚といった女の役割を強いられる)。

 

己に子供じみた振る舞いを許せば許すほど解放されていく気持ちになる。 子供のころに子供をやらないと大人になってからどんどん子供が出てくる。

 

友人が、親の年収を(子が関与することではない方針だから)知らされていないと言っていて、それが逆説的に親→子の結びつきの強さと経済的な余裕を物語っていて面白いと思った(なんだか意地が悪いように見えるかもしれないけれど、本当に面白いと思っている)。奨学金の申請をするにも家を借りるときに保証人になってもらうにも世帯年収は必須の情報だったから。じゃあ彼女はこの先奨学金も一人暮らしもさせてもらえないのだろうか? まさかそんなわけはないのだが。

 

夕方、満腹感が落ち着いたところでキノコヤへ行って「春原さんのうた」前売券を買う。「歌壇」に載っているスチルでキノコヤの二階が使われているのを知る。朝からカフェインをとりすぎているのでハーブティーをいただいた。お店に居合わせた青年曰く、近頃このあたりでチャイを配っている人がいるらしい。何者か誰も知らずかなりあやしいのだが、こんな寒い中あたたまる飲み物を配っているのだから多分やさしい人に違いない。残念ながらこの日は会えなかった。野菜が店主のKさんのご実家から届いたそうなのだけれど、週末は映画祭があってお店を休むので、たくさんあっても使いきれないかも、ということで大根、かぶ、さつまいもをいただく。秋冬らしい野菜でなおのこと嬉しい。

 

泊まりがけの仕事終わりのAちゃんと待ち合わせて、近所のイタリアンレストランに入る。食事はとても美味しかったのだが、この少し前に薬を1錠飲んだのが悪かったようで血糖値が急上昇してしまい、大変なことになった。心拍数が上がって、お酒を飲みすぎたときのように気分が悪く、冷や汗をぐっしょりかいてうずくまることしかできない。とりあえずお手洗いに入ったが不思議と嘔吐する気にはなれず、席に戻ろうと立ち上がると目の前が真っ暗になる。視覚を奪われたままなんとかテーブルにたどりつきしばらく突っ伏して休んだ。お店の人からしたらアレルギーの発作かなにかに見えて焦っただろうなあと申し訳なく思う。でももし一人のときにこうなってしまったら、救急車で運ばれたかもしれない。Aちゃんとせっかく久しぶりに外食をしたのに楽しい時間をぶち壊してしまったようで悲しかった。お水をたくさん飲んで少し落ち着いたところで、歩いて10分もしない距離をタクシーで帰った。

とにかくもう空腹のときや食事の前には絶対に薬を飲まない、お酒もできるだけ飲まない。

 

自分の病気のことは、隠しているわけではないけれど、かといって日常的に発信すると過度に心配をされたり、それによって私の可能性を狭めるような見方をされたりするのが嫌であまりおおやけにしたくない気持ちがある。けれど自分の生活の方針において重要な事項なので、やはりどこかで記録していきたい。わかってほしいとか、配慮してほしいとか、そういうことではなくてただ自分のありのままの姿を記録しているだけ。隠してしまうとどうしても嘘をつくことになる。難しい。

 

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秋から冬にかけての多摩川の茫々とした風景が好きだ。何もなくて、流れだけがある。流れに身をまかせて過ごしたい。風が吹き渡るみたいに、水が流れるみたいに自然に過ごしていたい。